チック症とは、運動チック症と音声チック症の二種類がありますが、 いずれも患者自身の意志ではなく、無意識で瞬きや首を急激に振るなどの速い動き、 咳払いは鼻や舌を鳴らしたりなどの発声を繰り返すものです。 4~5歳頃から症状がみえ始めるもので、やがては汚言症、 反響言語、反復言語等、複雑化するケースも見受けられます。 また、発症したものの1年経過せずにいつしか症状がみられなくなる一過性チック症と、 1年以上の継続がみられる慢性チック症にも分類できます。 また、運動チック症と音声チック症の双方がみられるトゥレット障害もあり、 こちらは強迫性障害や注意欠陥、学習障害といった他の症状が併発することもあります。
チック症の原因は解明されていませんが、精神面の影響が起因しているとされています。
例えば、不安や緊張といったストレスは悪化しやすいとされていますし、
興奮、疲労もチック症を誘因することになります。
また、環境がチック症の原因となるケースも報告されています。
例えば、PC、スマートフォンのモニターを長時間見ていたことから目の疲労が悪化し、
チック症が発症した事例もあれば、アレルギー性結膜炎や花粉症の影響で目がかゆくなり、
頻繁に瞬きをしていたら癖になってしまってチック症へと発展してしまった事例もあります。
このように、様々な原因によって発症するのですが、
どちらかといえば性格的な面への影響から発症しやすいのではと考えられています。
瞬きや首振り、舌を出したり鼻を揺らしたりといった運動チック症と、
咳払いや叫び、あるいは単語の連発といった音声チック症に分類されます。
運動チック症、音声チック症いずれも様々な症状がみられるので、
上記に該当しないからといってチック症ではないとは言い切れません。
細かい動き、あるいは発声が確認される場合、チック症の可能性があります。
チック症は問診・視診にて診断します。
継続期間や症状等を問診することで、
ある程度チック症かを診断できるのですが、チック症だけではなく、
他の症状と併発しているケースもありますので、
ADHD、多動症など、考えられる他の症状に関しての検査を同時に行うこともあります。
チック症はくせのようなものです。
そのため、日常生活で困っていない場合には治療をする必要がないとする声もありますが、
チック症が気になる場合には薬物治療ではなく、
精神療法や行動療法による治療が行われることがあります。
チック症は環境によって発症するケースもありますので、
規則正しい生活、悪影響を与える事象の回避当はもちろんですが、
ストレスや精神的負担を軽減する生活を送ることも、
チック症の治療の一環だと考えることができます。
ただし、重症で日常生活に支障をきたすと感じている場合には
抗精神病薬が用いられるケースがあります。
チック症はくせだとする声があるのは、
周囲の理解があれば治療の必要性が低下する点にあります。
音声チック症、運動チック症いずれも周囲が理解していればくせでしかありません。
周囲がチック症を理解していない場合、
チック症を改善させようとすることでしょう。
結果、患者にとって大きなストレスとなり、
チック症を悪化させてしまったり、
他の症状が併発するケースも見受けられます。
そのため、チック症の治療をと考える場合、
まずは周囲がチック症を理解することも大切です。
音声チック症、運動チック症それぞれどのような症状かを理解し、
患者の動態がチック症に基づくものだと分かれば、
叱咤によって是正するのではなく、
あくまでも癖として受け入れることができるケースもあります。
チック症は原因が分かっていない部分が多々あることから、
予防に関してもまだまだ断言できる予防法はありません。
しかし、チック症の発症事例等をみるに、
まずは精神的な面でのケアが大切です。
緊張や不安、興奮させない環境作りこそ、
チック症の予防法です。
また、事例を鑑みるに例えばモニターの見過ぎだったり、
かゆみが運動チック症を招いてしまったケースも見受けられますので、
極力チック症に発展する可能性のある行為・行動や環境下に置くことを控えましょう。
チック症は先にもお伝えしましたが、周囲の理解が重要です。
そのため、治療後も患者に対し、
強制的にチック症を是正させるようなことは厳禁です。
過度な症状の指摘や叱責は、精神的な影響から、
チック症を悪化させてしまうリスクもあります。
そのため、チック症治療後も、チック症を改善させることを優先するのではなく、
患者の状態を最優先に考慮することが大切です。
無理に改善させるのではなく、周囲が理解し、
個性だと考えてあげることも治療における選択肢の一つです。
あくまでも患者を中心に、何が良いのかを考えましょう。