統合失調症とは、精神疾患の一種です。 幻想、妄想、さらには現実味の無い思考や行動、 さらには意欲の欠如などがみられるもので、かつては精神分裂病とも呼称されていましたが、 近年では統合失調症と呼称されるようになりました。
統合失調症の原因は脳にあるとされているのですが、明確な理由までは分かっていません。
脳の神経伝達物質のバランスが崩れることに起因しているのではとも囁かれていますが、
まだまだ断定には至っていません。
ストレスとの関係性も囁かれています。
大きなストレスがかけられることによって、脳に何らかの影響を受け、
統合失調症が発症するのではとも囁かれています。
他にも遺伝的要因や環境の問題、あるいは特定の原因だけではなく、
様々な原因が絡み合うことで生じているのではないかなど、
様々な議論が交わされているのですが、まだまだ仮説の域を出ません。
統合失調症の症状は主に陽性症状と陰性症状の2種類に分類できますが、
認知機能障害と呼ばれる症状も見受けられます。
症状に関してはそれぞれ異なるものの、
いずれも人間関係や社会的信頼性をゆがめてしまう可能性があります。
統合失調症における陽性症状とは、
幻覚・幻聴、妄想といったものです。
そもそも「陽性」とは何らかの形がみられるものです。
幻覚や幻聴といった、普段みられないものを感じることから陽性症状とされています。
他にも突然興奮して叫んだり、考え方に一貫性が無くなり、
ある種の思考混乱状態に陥ったり、あるいは会話に脈絡が無くなることや、
何を話しているのか他人が聞き取れない状態など、
他人とのコミュニケーションが難しくなる点も陽性症状に分類されています。
統合失調症における陰性症状とは、患者様自身の意識の部分に関する症状です。
例えば、物事への意欲の低下が顕著になったり、感情表現が乏しくなる等が該当します。
周囲に対して無関心になり、やがては患者自身の世界に閉じこもりがちとなり
他人とのコミュニケーションを億劫に感じてしまうなど陰性症状は心情面に悪影響を及ぼすものです。
統合失調症における認知機能障害とは、様々な意識の低下が懸念されるもので、
情報を見極めて注意を向ける選択的注意、過去と比較する比較照合、
物事を分類して判断する概念形成の3つの能力が低下することで、
気分・行動に影響が出てしまうものです。
この段階ではまだまだ統合失調症だとは言い切れないものの、
その予兆が見え隠れします。急に眠れない日々が続いたり、
焦る気持ちばかりを感じるようになったり、
さらには気分が変わりやすくなるなど、
それまで患者自身があまり感じたことがない気持ちを抱きやすくなります。
ただし、この時点で統合失調症だと自覚することは難しいです。
なぜなら、これらは日々の疲労や睡眠不足、
ストレスや悩み等でも同様の気持ちになりますので、
統合失調症の前兆期なのか、あるいはただの悩みなのかの判断は困難です。
被害的妄想や幻聴が聞こえるようになり、
それらが不安を増長させ、不眠をもたらします。
いわば統合失調症の中で最も症状が顕著なタイミングで、
陽性症状がみられやすいです。
陰性症状がみられやすい時期です。
常に眠気を感じるだけではなく、体がだるい、
やる気が出ないといった気分的な面に影響が出る時期です
統合失調症は問診を行います。
幻聴や妄想の症状だけではなく、持続している期間、
さらには家族にも問診を行います。
これらの結果をWHOが策定している「ICD-10」、米国精神医学会が策定している
「DSM-5」のいずれかに照らし合わせて統合失調症かを判断します。
他にもCTやMRI、血液検査を用いるケースもあります。
統合失調症の治療は経過状態によって異なります。
先に紹介したそれぞれの経過状況によって、
どのような治療を行うのかをご紹介しましょう。
抗精神病薬等を用いた薬物療法が行われ、
また、緊急を要する際には電気けいれん両療法を行うケースもあります。
消耗期では薬物療法と心理社会的療法を行うことで、
社会生活機能の回復を目指します。
患者自身の状態に合わせ、心理教育や生活技能訓練などを行うと共に、
統合失調症の自己管理を理解します。
統合失調症は治療で回復したとしても、
薬物治療を辞めることで2年以内におよそ50%以上の患者にて再発が認められています。
そのため、治療にて回復したと思っても、再発予防のための治療が大切です。
心身面への負担が比較的軽微な維持期にも、
投薬治療を長期的に行うことで、再発防止を目指します。
そのため、自己判断は厳禁です。
自己判断で治療を終了・中断してしまうと、再発リスクが高まります。