PTSDとは日常生活の中で、患者様自身が大きな衝撃を覚える自称を体験した後に発症する症状です。
例えば、大災害や交通事故、犯罪に巻き込まれることで、以降、精神的に大きな負担を強いられることになる症状です。
かつては外傷神経症、災害神経症とも呼称されていましたが、
1980年、アメリカの精神医学会診断基準にてPTSDと制定されることになりました。
日本国内に於いても阪神淡路大震災等、自然災害の被害者様がPTSDを発症するケースが増えていることから、
注目を集めています。
PTSDの原因は非日常的な衝撃体験です。
先に一例として災害や交通事故、犯罪を挙げましたが、
暴力を受ける、戦争体験、性的犯罪被害に遭うといった経験、
さらには実際に体験・経験するのではなく、
それらを目撃したことで精神的に大きな衝撃を受け、PTSDを発症するケースもあります。
ここでポイントとなるのが、あくまでも患者自身にとっての衝撃である点です。
例えば、自然災害に関しても、同じ自然災害の被害を受けたとしても、
過去に震災の経験がある方であればPTSDは発症しない可能性が高いですが、
初めて大きな震災に見舞われてしまった場合、PTSDになる可能性もあります。
このように、事象はあくまでもきっかけであり、
事象を患者様が衝撃だと感じ、精神的に大きなダメージを負うことでPTSDが発症します。
PTSDは原因となった出来事が何度も脳裏をよぎるフラッシュバックが起きたり、
恐怖感や無力感に襲われる症状が見受けられます。
特にフラッシュバックに関しては、記憶ではあっても、
まるで再び体験しているかのようなリアリティを感じる場合も多く、
恐怖感が高まり一時的なパニックや過呼吸に陥ることもあれば、
周囲の状況が分からなくなり、判断力の低下から集中力が散漫になったり、
あるいは不注意が増えたりします。
他にも不眠症や喜怒哀楽が激しくなるなど、情緒不安定に陥ることがあります。
感情のコントロールが難しくなり、やがては充実感や満足感、
自己肯定感が低下し、
次第に自分の殻に閉じこもりがちになってしまいます。
PTSDは何らかの体験がきっかけとなりますので、基本的には問診にて診断します。
何らかの体験後、先に挙げた症状が1か月以上継続し、
日常生活・社会活動に支障が出ている場合、PTSDと診断されます。
また、体験だけではなく他の病気や治療薬の摂取もヒアリングします。
これらがPTSDに影響を与えている可能性も否定できないので、
体験だけで安易にPTSDだと診断するのではなく、
様々な可能性を踏まえての診断が行われます。
PTSDの治療は投薬と心理療法の2種類に分類できますが、それぞれの領域が異なります。
投薬は、あくまでもPTSDの症状に対しての治療です。
フラッシュバック、虚無感といった症状に対し、
抗うつ薬や抗不安薬、気分安定薬を用いることで緩和します。
そしてPTSDの原因と推測される事象に対しては、心理療法にて治療を行います。
トラウマを乗り越えるための心理療法である持続エクスボージャー療法、
過去の経験を整理・理解し、決して恐怖がある訳ではないと理解・克服する認知処理療法、
眼球運動からのアプローチでトラウマを克服する眼球運動脱感作療法、
さらにはPTSDの患者同士で経験を語り、孤独解消、
安心感の醸成によってPTSDを乗り越えるグループ療法等があります。
精神療法はアプローチの種類こそ異なりますが、
PTSDの原因となった衝撃的経験を克服するためのものですが、
いずれの治療もあくまでも患者様を主体に行われます。
プログラムを患者に押し付けるのではなく、患者様の精神的なケアを第一に、
徐々に克服できるよう治療を進めます。
PTSDの治療後の状態は、患者によって異なります。
そのため、周囲の理解が大切です。
特に患者の様子がおかしいと感じた場合、医師だけではなく、
地域の各種機関に相談しましょう。
PTSDは衝動的・発作的に精神的負担が生じるものです。
そのため、治療に向き合っている患者に対し、
むやみに叱責するのは控えましょう。
特に家族は患者のPTSDの原因を想起させるようなことは控え、
患者が健全な生活を送れる環境を整えてあげることが大切です。
また、PTSDの治療の終了は患者が自己判断するのではなく、
適切な判断に基づいて治療を終了します。
PTSDの原因となる衝撃的な経験・事象は、
いわば予測不能だからこそ精神的に大きな衝撃を受けるものです。
そのため、予防は難しいです。
但し、PTSDになりやすい気質の人とそうではない人がいます。
ストレスが蓄積されているとPTSDを受けやすいとの指摘もありますので、
日々の生活の中で運動や睡眠等でストレスの軽減を心掛けることが大切です。