医学的に「恋愛依存症」という病名はなく、「
依存症」の1つとして恋愛への依存が考えられています。
依存症とは、特定の行為を繰り返し体験することで、
肉体的・精神的に依存し、自分の意志だけでは抜け出せなくなった状態をいいます。
恋愛依存症の状態では、自分の日常よりも相手を第一に優先してしまったり、
過剰に相手に固執してしまったりします。
恋愛中は相手への想いが溢れ、多かれ少なかれ相手のことばかり考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、相手のことを考えていると仕事がおろそかになってしまったり、
私生活の全ても相手のために尽くしているような極端な相手への想いとなっている場合は要注意です。
また、尽くす相手がいなくなると、不安感や焦燥感、無力感に襲われてしまうのも特徴です。
大きな原因と考えられているのが、幼少期の養育環境の影響やなにかしらのトラウマ経験です。
両親からの愛情を感じられなかったり、
幼少期に虐待(暴力や性的、ネグレクト)を受けていたり、
家族の仲が悪く怒号が飛び交っていた幼少期を過ごしたり、
成長過程でいじめられた経験があったり、
信頼する人間がいきなり亡くなってしまったりなど様々な経験が影響として考えられます。
傷ついた自己への愛など、自らの手で負えない苦しみや不安を、
自分以外の「なにか」を使って心穏やかにしようとするために、
相手に尽くしたり支配したりという歪んだ恋愛に依存していきます。
常に恋愛をしていないと不安に感じる
「恋愛への精神的に依存」と、パートナーができて
恋愛をしているときも幸福感が続かずに、
精神的に不安定になり生活のすべてを恋愛に注いでしまう
「恋愛をしている相手への依存」があります。
自分の趣味のために習い事に通っていても、
パートナーの誘いがあると休んでしまったり、
友達との約束が先だったのに、パートナーの誘いを優先してしまったりと、
恋愛対象の人を優先することで、自分自身を失ってしまいます。
相手への依存が過剰になることで、
恋人同士の安定した関係を長期間保つことができなくなります。
相手との関係が不安定になることで、
どんどん精神的に不安になっていきます。
それでも別れることができず、さらに不安定になるという悪循環に陥ります。
しかも、別れたら別れたでどんなに元パートナー以外に
目を向けようとしても意思の力では難しく、
絶望して死にたくなったり、相手を憎んだりします。
実際に行動にうつして、ストーカー行為や脅し行為、
狂言自殺をすることもあります。
恋愛という行為そのものは社会的に違法ではありません。
また、血液検査など検査をすることで数値が出るものでもありません。
そのため、
専門家によって、普通の恋愛なのか、
依存傾向にあるのか診断を受けることになります。
依存とは「苦しい・やめたい」と思っているのにその行為を続けてしまうことです。
そのため、
恋愛に関して以下のような傾向にあり、
困っていることがある場合、医療機関にいちど相談してみるとよいでしょう。
・恋愛を優先しすぎて、日常生活に支障が出ている。
・パートナーのことを考えて仕事が手につかない。
・深夜までパートナーの世話に振り回されている。
・限られた関係だけにネットワークが絞られ、
パートナーがいなくなったら生きられないと感じる。
・あまりにも相手に尽くし過ぎていると感じていてもやめられない。
・ひどい相手だとわかっているにも関わらず我慢している。
・日常では大人しいが、恋愛になると過剰に活動的になる。
・恋愛が絡むと攻撃的になったり、社会的な問題を起こしたり、
嘘をついたりしてしまう。
・パートナーからのメール返信が遅かったり、
LINEの既読スルーがあったりすると嫌われたと不安になる。
恋愛に依存しているかもしれないと自覚した際に、
問題を「恋愛の在り方」と考え、恋愛のカウンセラーや相談所、
友人などに相談したくなるかもしれません。
しかし、根本的な問題は「恋愛」ではなく「依存」です。
そして、その背景にあるのは自己愛の傷つきや過去のトラウマです。
そのため、重度の依存症治療に関しては、
専門家や医師のサポートが不可欠です。
医療機関の受診することで、専門家による認知行動療法やカウンセリングなどを受け、
恋愛への考え方を修正し、克服していくことに繋がります。
なにより、やめたいと思っていてもやめられない状態であることを理解し、
受け入れることがスタートとして大切です。
また、日ごろから自分を大切にし、
恋愛以外の楽しみを見つけるよう意識してみることも重要です。
恋愛依存症の人は常に恋人を優先して、
自分のことを後回しにしてしまいます。
常に我慢し、相手の顔色をうかがいながら恋愛をして、
ストレスがたまっていってしまうので、
まずは優先順位の一番を自分にしてみましょう。
また、恋愛以外で夢中になれることや、のめり込めるものを見つけることで、
頭の中に占める恋愛の割合が低くなります。
結果、恋愛への依存度が減ることに繋がります。