解離性障害とは、かつてヒステリーと呼称されていた症状でいくつかの症状に分類できるのですが、日常生活に支障をきたすことを解離性障害と定義しています。 いわゆる突発的・衝動的な行動が特徴で、患者自身よりも周囲が対応に困るものですが、周囲が解離性障害への理解が低い場合、人間関係にも影を落とすことになります。
解離性障害の原因は心因的なものですが、
衝撃的体験やストレスが主な原因とされています。
例えば、目の前で交通事故を目撃してしまった場合や幼少期の記憶等、
自らが受け入れ難い情報が脳に入った際、
切り離そうとすることで解離性障害が生じます。
ストレスに関しても基本的な原理は同じです。受け入れ難いストレス、
あるいは自らで消化できる許容量を超えたストレスに直面した際、解離性障害が生じます。
これらの点からも、解離性障害は心因性の精神障害だと判断できます。
解離性障害の障害は幅広い症状も特徴の一つです。
主な症状としては下記になります。
通常の物忘れよりも、より強度の強い物忘れです。
こちらは強いストレスによって生じるのではないかとされています。
急に生活圏を離れてしますものです。 家庭や職場から離れてブラブラするものの、患者にはその間の記憶がない状態です。
多重人格とも呼ばれている症状です。
別人格が存在しており、それぞれの人格が全くの別人として機能してしまっている状態です。
いわゆる幽体離脱と囁かれているような、
自分の精神や体が自分から離れてしまい、
自分のことをまるで第三者かのようにみている状態です。
姿勢や呼吸は正常なのですが、随意運動や発語機能が低減・消失する状態です。
意識状態の変化です。
周囲への認識や関心が薄まれ、人格が変わったかのような状況に陥ります。
こちらもまるで別人かのような人格になるのですが、
何かに憑依されていると錯覚させられるもので、
特に霊や神といった存在を想起させるものです。
運動能力が解離したかのように喪失する状況です。
急に自らの力だけで立て無くなってしまったりなど、
それまで当たり前のように行えていた運動が不可になる状態です。
体の感覚が麻痺、あるいは機能しなくなる状況です。
皮膚感覚だけではなく、視覚や聴覚、
嗅覚も含まれていますので、何も感じなくなってしまいます。
急に昏睡状態となって意識がなくなる状態です。
また、体が思うように動かせない状況や声が出ない、
目が見えないといった状況も含まれます。
体と心が分離したかのような状態になりつつ、
その間の行動の記憶がない点が特徴です。
他者との円滑なコミュニケーションが取れなくなる状態です。 受け答えが曖昧になったり、文脈・脈絡のない会話となってしまったりが見受けられます。
基本的に面談によって診断します。
注意深く症状を観察するだけではなく、
身体的原因を除外する必要がある場合もありますので、
MRI検査や血液検査を行う場合もあります。
ヒアリングや症状等を踏まえ、解離性障害だと診断します。
但し、解離性障害は自覚症状がない患者が多いです。
また、先に紹介した症状そのものは、
解離性障害だけのものではないものもあります。
例えば、疲れている時に幻聴をと思ったり、
そもそもその時の記憶がない場合も多いので、
周囲が気付き、検査を促すことになります。
また、解離性障害は他の精神的・心因的な症状を併発しているケースもあります。
うつ病や境界性パーソナリティ障害、摂食障害等が多いので、
それらの既往歴等も解離性障害の診断材料となります。
精神的な症状になりますので、精神分析的精神療法や抗不安薬、
抗うつ薬等による投薬治療を行いますが、
患者の状態次第では内科診察や心理検査が必要なものもあります。
また、症状が重い場合、患者の苦痛が大きな場合には入院する場合もありますが、
いずれの治療も患者の状態を見極めて進めることが大切です。
特に精神的な症状になりますので、患者様の精神面を注視しながらの治療となります。
解離性障害は、周囲の理解が不可欠です。
解離性障害への理解が低いと、解離性障害を悪化させてしまいかねません。
「嘘をついているのではないか」「演技しているのではないか」
といった思いを向けられることで、
患者は理解されない気持ちがストレスや悲しみとなり、
解離性障害をより悪化させてしまうこともあります。
そのため、解離性障害の治療は患者だけではなく、周囲の理解が不可欠です。
一般常識では考えられないような立ち振る舞いではあっても、患者自身は悩んでいます。
ましてや周囲が理解しなければ、患者は更に悩み、
苦しむことになりますので、まずは周囲が解離性障害はどのような症状なのかを理解し、
患者と向き合うことが大切です。