うつ病は憂鬱な気分の状態が持続します。
物事に対して興味を持たなくなるだけではなく、
否定的・ネガティブな考え方をするようになってしまいます。
気分障害の一種とされていますが、何をしても楽しめない状態となることから、
患者自身はもちろんですが、周囲の人間関係等にも悪影響を及ぼしかねません。
特にうつ病に関して理解の低い人間が周囲にいると、
うつ病の患者様を見て「やる気がない」と判断し、評価が下がったり、
信用を損ねてしまうことにもなりかねません。
うつ病の原因は断定が難しいです。
一つだけに絞るのではなく、様々な要因が絡み合っていると考えられており、
特に環境要因が大きいとされています。
例えば人間関係のトラブルや環境の変化といったものや、
仕事での喪失、家族や友人・
知人、恋人の喪失といった点も要因の一つとされています。
うつ病はネガティブな感情になることから、ストレス、
あるいは嫌なことがあるとうつ病になると思われがちなのですが、
結婚や試験の合格後など、嬉しいことの後でも発症するケースが確認されています。
そのため、うつ病は誰にとっても決して無縁のものではありません。
厚生労働省によると、100人中、6人がうつ病になるとされていますが、
女性の方が男性よりも1.6倍多いとされています。
女性の場合、更年期障害や妊娠・出産など、
男性と比べてライフステージに変化が多い点が関連しているのではとされています。
うつ病はネガティブな人やストレスを感じやすい人が
なりやすいとのイメージもあるかもしれません。
しかし、うつ病は脳のエネルギーの欠乏によってもたらされるものだとすれば、
脳のエネルギーの放出量の多い人間がうつ病になりやすいと考えることもできます。
例えば正義感が強い人、仕事に対して情熱的な人、完璧主義や凝り性、
あるいは他人に対しての配慮が強い人などは、
うつ病とは無縁だと思われるかもしれませんが、
むしろうつ病の発症リスクが高いと考えることもできます。
そのため、うつ病は決してネガティブな人だけに発症する症状ではありません。
うつ病はいきなりうつ病になるのではなく、前兆・サインがみられます。
例えば、何事も楽しめなくなってきていると自覚したり、
ふと悪い方ばかりに考えるようになっている時はうつ病のシグナルです。
また、周囲から表情が暗い、反応が遅い、落ち着かない、
お酒の量が増えていると思われている場合もうつ病の前兆である可能性が高いです。
うつ病の症状として、憂鬱な状態が続く点が挙げられます。
何をしても楽しめないだけではなく、憂鬱な状態が続き、
本来は楽しめるはずの趣味や気分転換の時間でさ
え憂鬱な状態が2週間以上継続すると、うつ病と定義されます。
ただし、前兆、あるいは初期段階にてうつ病だと自覚できれば未然に発症を防いだり、
あるいは軽い症状の段階で治療に移れるのですが、
うつ病の症状は生活習慣病と似た部分があります。
例えば、やる気が出ないのは疲労感、ネガティブ思考になるのは疲労やストレス等、
すぐにうつ病だと自覚することが難しいものです。
うつ病の診断は尿や血液・血圧や体重測定などうつ病と
関連性のないと思われる部分まで診断します。
これは抑うつ状態が疾患によるものなのかを判断するためのものです。
他の症状の治療による一時的なものなのか、あるいはうつ病なのかを診断します。
その後は問診にて、米国精神医学会の診断基準、
「DSM」に照らし合わせ、うつ病かを診断します。
うつ病の治療は休養、薬物療法、精神療法の3つが基本となります。
軽度のうつ病であれば、休養・リフレッシュによって改善するケースもありますが、
重度のうつ病の場合、抗うつ薬を投薬します。
ちなみに、抗うつ薬は服用からおよそ2週間で効果が出ますので、
服用直後に効果がみられないからといっても、
決して効果が出ていないわけではありません。
精神療法ではカウンセリングを元に、認知行動療法や対人間関係療法、
森田療法といった治療法が用意されています。
これらの精神療法は患者様と医師の信頼関係も重要です。
患者自身が治療へのモチベーションを保ち、医師との二人三脚での治療が重要です。
うつ病の予防として、休養が挙げられます。
疲労は免疫を低下させるので、ストレスによって
体内に大きなダメージが与えられてしまいます。
休養、リフレッシュやストレス解消等を心掛けることは、
十分なうつ病予防になります。
趣味の時間、友人との時間や運動等も、うつ病予防になり得るものです。
また、治療後は一度改善方向に向かったとしても油断することなく、
長期的な視野で治療を継続することが望ましいです。
治療を中断してしまうとうつ病の再発リスクが高まりますので、
どの段階まで治療を行うかは自己判断することは控えましょう。