双極性障害とは躁うつ病とも呼称されている症状です。 うつ病同様、気分が沈み、ネガティブな気持ちに支配されて無気力な状態になる時もあれば、ハイテンションな躁状態にもなります。 睡眠不足でもエネルギッシュに活動したり、次々と何かに閃いたりなど、うつ病には、みられない状態がみられます。 また、良い方向だけではなく、例えば攻撃性が増すことで上司や周囲の人間に対して辛辣に当たったり、 急に大きな買い物をするなど、社会的信用を損ねる行動に走るケースもみられます。 いわば躁とうつという対局の状態を繰り返す障害が双極性障害です。 周囲の人間にとっては、どちらが本当の性格なのかが分からずに不信感に繋がりますが、 何より双極性障害の患者自身も、どちらが本当の自分なのか分からずに困っていることでしょう。
双極性障害は躁うつ病とも呼称されている点
さらには躁状態とうつ状態が繰り返されることから
うつ病の一種だと誤解されがちなのですが、厳密にはうつ病とは異なる症状です。
双極性障害の原因はまだまだ未解明な点が多いです。
脳内の情報伝達機能に何らかの乱れが生じることで
双極性障害が発症すると考えられているのですが、
なぜ乱れるのかまでは定かではありません。
心理的な症状の多くに起因しているストレスも、
きっかけになることはあっても、直接的な原因とは断定されていません。
患者自身の体質・性質など、遺伝的側面もあるのではないかと囁かれているのですが、
双極性障害の原因だと特定される遺伝子は見つかっていません。
ハイテンションの躁状態とうつ状態を繰り返すのですが、
うつ状態の方が長い傾向にあります。
双極性障害の特徴として、患者自身が気付きにくい点が挙げられます。
うつ病の場合、患者様自身もうつ病を自覚しやすいのですが、
双極性障害の場合、うつ状態だけではなく、躁状態になることから自覚が難しく、
かつ躁状態はテンションが高い状態なので、まさかうつ病だとは思わず、
そのまま日常生活を過ごしてしまいがちです。
一方で、躁状態の時には気分が大きくなってしまう傾向にあることから、
人間関係のトラブルを起こしてしまうこともあります。
双極性障害は躁状態とうつ状態が繰り返されます。
患者が検査や治療をと考えるのはうつ状態の時なので、
うつ病だと診断されてしまうケースもありますが、
先にもお伝えしたように、双極性障害とうつ病は同じ症状ではありません。
そのため、うつ状態だけで判断するのではなく、
日頃の様子や言動を見守る必要があります。
うつ状態だけをみて、うつ病だと診断し、うつ病の治療を開始しても、
うつ病と双極性障害は異なる症状なので効果がでにくいです。
うつ病なのか、あるいは双極性障害なのかを見極めるためには、
日ごろの様子や言動の波など、ライフスタイル全般に於いて診断することになります。
双極性障害の治療は薬物治療と精神療法的アプローチの二種類となります。
双極性障害の薬物治療は再発防止、症状の安定化が目的です。
気分安定薬や抗精神病薬が用いられるケースが一般的で、長期的投与となります。
長期間の服薬により、まずは症状を安定化させることが重要だと考えられており、
安定させることで徐々にではありますがコントロールが可能になります。
それぞれの役割として、気分安定薬が薬物治療の基本となり、
抗精神病薬にて躁状態の治療を行います。
不眠がみられる場合には睡眠薬を投与するケースもみられます。
また、安定している時ではあっても投薬の継続が重要とされており、
良い状態になって投薬を中止することで再発する懸念があります。
まずは患者自身に双極性障害を理解してもらうことが大切です。
決してうつ病ではなく、あくまでも双極性障害という症状を自覚し、
受け入れることが大切です。
さらには患者様自身だけで向き合うのではなく、家族と協力したり、
認知のゆがみを解消する認知療法や人間関係を回復させる対人関係療法など、
様々な治療が用意されていますが、基本的には薬物治療との併用で、
精神療法的アプローチのみでの治療は行われていません。
まだまだ原因が定かではない双極性障害ですが、
予防としては毎日の生活のリズムを整えることが大切とされています。
可能な限り、毎日の生活のリズムを一定にすること、
さらには日常生活の中でリラックスできる時間を作ることが重要です。
治療の際には症状が落ち着いている時ではあっても投薬を継続しましょう。
また、毎日の生活をメモしておくと、
調子が悪くなった時に何がきっかけなのかを特定しやすいです。
例えば、ストレスだとしても、何が原因のストレスで双極性障害が再発したのかを知ることで、
以降の予防策に役立てることができます。