不安障害とは、不安によって日常生活に影響が出てしまう状況を指します。 そもそも、人間は不安を感じるのはおかしなことではありません。 大勢の人の前に出たり、試験を受ける前、あるいは緊張している時など、 不安・心配は当たり前の反応ですが、あまりにも過度な不安となり、 日常生活にまで影響を及ぼすものになることを不安障害と呼びます。 そんな不安障害は、パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害に分類できます。
不安障害の原因は完全には解明されていません。
また、先にもお伝えしたように、不安障害はいくつかの種類に分類できますので、
それぞれに応じて原因も微妙に異なります。
例えば、パニック障害の場合、死の恐怖を察知することで発症するとされていますし、
社会不安障害や全般性不安障害に関してはストレスに伴う自律神経の障害や
神経伝達物質の働きが悪くなることが原因とされています。
また、性格的な面も原因の一つに挙げられます。
例えば、同じ状況にありながら、全く緊張しない人もいれば、
緊張で過呼吸に陥る人もいます。
つまり、緊張しやすい、不安を感じやすい人は不安障害のリスクが高いと考えられています。
いずれの種類の不安障害も、症状としては不安が大きくなり、
日常生活に支障をきたしてしまうものです。例えば、頭が真っ白になる、
赤面するといったことは決しておかしなことではありませんが、
それらが次第にエスカレートし「そうならないために」と人目を避けたり、
あるいは失敗を恐れて何もできなくなったり、
学校や職場に行くことそのものに躊躇したり、それらの反動か、
イライラしたり、小さな事が気になったりといった症状がみられるケースもあれば、
不眠症や人と会うことそのものが億劫になるなど、
ネガティブな気持ちに支配されてしまうケースも見受けられます。
一方、頻尿やめまい、頭痛、あるいは頭が揺れているような感覚に襲われる等、
身体的な症状がみられるケースもあります。
強迫性障害の場合、同じことを繰り返すうちに
まるで強迫されているかのように繰り返すことになります。
例えば、忘れ物をしないようにと思って確認していたものの、
不安がエスカレートし、まるで誰かに強迫されているかのように何度も何度も確認するなど、
自分自身の不安に脅されるかのように同じことを繰り返してしまいます。
基本的には問診にて検査・診断を行います。
その際の基準となるのはアメリカ精神医学会のDSM-IV-TR、WHOのICD-10です。
問診にてこれらに該当していないかを判断しますが、
他にも症状が起きていないかや、既往歴、投薬歴、
繰り返し起きているのであればその期間等を踏まえ、総合的に判断します。
最不安障害の治療は薬物療法と精神療法的アプローチの二種類にて行われます。
薬物療法は、SSRIや抗うつ薬、抗不安薬を用います。
投薬効果を確認しながら、徐々に量を減らすなどして治療を進めますが、
薬物療法は不安障害の原因に訴求するのではなく、
不安障害の症状に対しての治療です。
そのため、薬物療法だけを繰り返しても、不安障害の根治にはできません。
不安障害の「障害」の部分を治療するのが薬物療法なら、
不安障害の原因でもある気持ちの面を治療するのが精神療法的アプローチで、
まずは不安障害について理解してもらうことから始めます。
そして森田療法や認知行動療法により、
患者様の不安に対しての考え方や姿勢の変化を促します。
不安障害は不安に起因したものですが、一方で不安は誰もが感じているものです。
不安とどのように向き合うのかが改善されることで、
不安障害もやがては収まります。
不安障害は不安に起因するものです。
そのため、予防策としても不安を理解する点にあります。
不安を感じるのは決しておかしなことではありませんし、
誰もが持っているものであることを理解し、かつ不安に恐れすぎず、
失敗しても何とかなるといった気の持ちようも大切です。
特に不安障害になる患者は、失敗経験が希薄なことから、
失敗を過度に恐れているケースも見受けられます。
この場合、一度軽く失敗し、失敗したとしても挽回できるものだと
理解してもらうことも大切ですなので、完璧を目指す必要はないと
周囲が助言してあげることも予防策の一環です。