ADHDとは注意欠如、多動性障害と呼称されています。
年齢に応じた注意力を持ち合わせておらず、落ち着きがなかったり、
衝動的に何かを行い、生活や学業に支障をきたす状態がおよそ
半年以上持続している場合にADHDと定義します。
ADHDは自閉スペクトラム症、学習障害、チック障害等らと共に
発達障害の一種とされています。
但し、決して物事全てにおいて集中力の欠如が見られるのではなく、
自身の好きなこと・興味のある事に対しては集中力の維持も問題なく行えることから、
ADHDなのか、あるいはただ単に集中力が欠如しているのか、
何らかの理由で突発的衝動に駆られただけなのか、注視が大切です。
ADHDは生まれつきの問題、つまり遺伝的要因によるものだとされているのですが、
詳しい原因に関しては分からないことも多々あります。
遺伝だけではなく、周産期、あるいは環境の問題も絡み合い、
ADHDへと発展してしまうのではないかとの説もありますが、
その中でも大脳にある前頭前野の機能調節に偏りがあること、
脳内の神経伝達物質が不足していると、ADHDになりやすいのではと囁かれています。
注意力が低い点はADHDの特徴です。
例えば大切な用事であっても守れなかったり、同じミスを何度もしてしまったり、
ルールを知らず知らずに破ってしまったり、いつも同じ忘れ物をしたりなど、
注意力があれば防げることを、ついついミスしてしまいます。
いわゆる「落ち着きがない」とされるものです。
まるで子供のように、じっと座っていられなかったり、
ついつい手足を動かしてしまったり。
貧乏ゆすりも多動性の一種とされていますが、
じっとしていなければならないシチュエーションであっても、
体、手足を動かしてしまう症状です。
動的な行動が多い点もADHDの特徴です。
例えば、衝動買いもその一つです。
急に物が欲しくなってしまうのも、突発的・衝動的に購買意欲が湧いてしまうのが原因です。
急にイライラしたり、あるいは思ったことをすぐ口に出してしまう等も衝動性に該当する部分です。
ADHDの検査は問診にて行われますが、
本人からだけではなく、保護者に行うケースもあります。
行動評価に基づいてADHDかを診断するのですが、
他にも脳波検査や心理検査、血液検査や頭部画像検査等、
様々な検査にて多角的に診断されます。
ADHDの治療は完治が難しいとされています。
そのため、「治療」ではなく、ADHDという個性を本人が受け入れ、
かつ周囲も理解することで、患者様、そして家族が協力し、
ADHDと付き合うことが求められます。
そのため、治療ではなくADHDを受け入れるための施策、
あるいは状態が悪化しないための治療がありますのでそちらも紹介しましょう。
患者だけではなく保護者、さらには教師など
ADHDの患者様の周囲の人間のADHDへの理解を深めるものです。
「治療」との名称ではありますが、ADHDを理解することで、
ADHDの患者様に対して不快を与えず、過ごしやすい環境を構築するために
必要なものは何かを知るためのものです。
ペアレントトレーニング、ペアレントプログラム等が用意されていることからも分かるように、
患者自身よりもその周囲の人々向けのものです。
抗ADHD薬は4種類用意されています。
症状の特徴、ライフスタイル等によって、患者様に合わせた薬を選択し、
投薬することでADHDの症状を軽減します。
メチルフェニデートのように保険適用されているものもあります。
ADHDは遺伝的要因が強いとされています。
後天的要素も決してゼロではないとされているものの、
遺伝でとなると予防は難しいのが実情です。
ADHDの治療は、患者自身、そして周囲の意識も大切です。
まず患者に関しては、治療後もADHDと付き合い続けることになります。
決して治療して完治できる症状ではありませんので、
ADHDを受け入れることが大切です。
その際、自尊心を傷つけてしまうこともあるかもしれませんので、
周囲のサポートも重要です。
ADHDを理解し、受け入れ、向き合うことが求められます。
ADHDの患者が何度も同じミスをすれば周囲はイライラしてくるでしょう。
わざとミスをしているのではないかと疑いたくなる気持ちも芽生えることでしょう。
しかし、ADHDという症状がそうさせています。
注意して改善させようとするのではなく、そのような症状を受け入れ、
ではどうすると良いのかという点を考える必要があります。
むしろ無理な改善はストレスの要因となり、更なる症状の併発を招きかねません。
ADHDは本人だけではなく、周囲の理解・協力も不可欠なので、
ADHDではない子供と比較して安易に叱責するのは控えましょう。